first love~世界で一番素敵な初恋~
「私、お父さんが大好きだった……
でもね、私がトラックに引かれそうになった時迷わず私を助けてくれて………
その時、微かに聞こえてたの……
唯那はちゃんと幸せになってくれって。
お父さんは、自分の命が長くないってことは分かってたんだと思う。」
「………………あぁ。」
「私はその後気を失ったんだけど、今でもあの時のことは鮮明に覚えてるよ………」
お父さんの表情は今でも私の心の中に焼き付いていた。
「…………………」
西園寺は私の話に相づちを打って真剣に聞いてくれた。
「トラックが私に向かってきた時、西園寺のことを強く思ったことも、西園寺のことをどれだけ好きだったかってことも。
私の辛い記憶の中にはとても幸せな記憶が混ざっていたんだよね…………」
お父さんの記憶と共に自分の中に封印した西園寺との思い出。
辛い記憶だけじゃなかったから、私は今、ここに居られるんだと思う。
もし、一人だったら私は自ら死を選んでいたかもしれない。
「唯那?」
途中で話が変わった事に西園寺は驚きを見せていた。