first love~世界で一番素敵な初恋~


全てを言い終わる前に、今度は西園寺の目から涙が溢れていた。


「俺様王子はこんなに大きくなったんだね。」


なんて笑いながら西園寺の頭をポンポンと叩く。


「……………………誰が俺様王子だバカ。
もう、思い出さないかもしれないって思ってたんだぞ。」


男の子は泣くものじゃない。って、昔誰かが言ってたと思う。
男の子が泣くことは恥ずかしいことだって。


でも、私はそんな風には思わない。
だって、涙を見れば西園寺がこの12年間私のことを思い続けてくれたんだっていうことが分かるから。


だから、私にとって、西園寺の涙はとても愛しいものだった……



「本当にごめんね。
でも、私が思い出せたのは西園寺のお陰だよ。
一人なら、辛い過去に向き合うこともしないまま一生を終えていたと思う。
だから感謝してるよ。本当にありがとう。」


今なら、ちゃんと過去と向き合える。
自分を責めるのじゃなくて、私を生かせてくれたお父さんに感謝をして前に進める。


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