first love~世界で一番素敵な初恋~


「……………ねぇ、西園寺。お願いがあるんだけどいい?」


ベッドから起き上がり、食堂で朝食を食べている時にふと声を掛けた。


「何?」


「お父さんのお墓参りに行きたいんだけど、いいかな?」


「お墓参り?」


「うん。私、今までお父さんのお墓に行ったことがないの。
多分、お母さんが記憶が戻らないようにしてたからだと思うんだけど。
私、お父さんが死ぬときごめんね。としか言ってなかった。
だから、今度はお父さんにありがとうって言いたい。」


記憶が無くなるまで、ずっとお父さんに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
だから、今度は助けてくれたことにありがとうって言いたい。


「…………俺も唯那のお父さんに会って言わないといけないことがある。
だから、今度の土曜日にでも一緒に行こう。」


「うん。ありがとう、西園寺。」


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