first love~世界で一番素敵な初恋~
「唯那はもう終わっていたのか。」
色んなことを思っていると、西園寺は目を開けて私の方を見る。
「うん。………ねぇ、西園寺はお父さんに何を言ってたの?」
私よりも長く目を閉じていたから、きっと大事なことを話したんだと思う。
「聞きたいか?」
「うん。」
そう言うと、西園寺は少し考えてから体を私の方にむき直した。
西園寺の目は初めて見る真剣な目つきだった。
「佐倉唯那さん。」
「は、はいっ。」
いきなりフルネームで呼ぶ西園寺にびっくりして私も西園寺の方に体をむき直した。
「俺は、唯那さんのことが大好きです。
唯那さん出逢ってから、俺は寂しさを忘れ、笑いが絶えない日々を送ってきました。
でも、唯那さんが目の前から居なくなり、俺は心の中が空っぽになってしまいました。
唯那さんが居なくなって、俺は唯那の存在の大切さに気付き、ずっとあなたを探してきました。
時には、忘れようと他の女と付き合ったこともあります。
でも、俺の中から唯那の存在は消えることなく、どんどん存在が大きくなるばかりで辛かった………
俺には唯那さんが必要なんです。
再び出逢い、俺のことを思いだしてくれた唯那さんをどんなことがあっても手放しません。
もう、俺は唯那さんが居ないと生きていけない………
ですから、俺が一人前になったら、その時はお嬢さんを俺にください。」