first love~世界で一番素敵な初恋~


西園寺が私に言おうと思っていたこと?


色々と考えてみるが結局思いつかず、じっと西園寺の顔を見る。


「聞いてくれるか?」


その言葉に、私は大きく頷いた。
すると、緊張していた西園寺の顔が少しだけ緩んだのが分かった。


「佐倉唯那さん。」


西園寺は改めて私の苗字をお母さんの姓である”島崎”ではなく、お父さんが亡くなる前までずっと使っていたお父さんの姓である”佐倉”で呼ぶ。


佐倉唯那………この名前で呼ばれたのはいつぶりなんだろう。
私は、やっぱりお父さんとお母さんの子供だから、3人で過ごしていた時に使っていたこの苗字が大好きだ。


「はい。」


私は、嬉しくて目に涙を浮かべながらゆっくりと頷いた。



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