first love~世界で一番素敵な初恋~


裕美が言う指輪とは、いつも制服の下に隠しているネックレスに通している指輪のこと。


学校では校則でアクセサリーを身に付けることは禁止されている。


だから、こうしてネックレスにしてバレないようにしてたんだけど裕美には気付かれていたみたい。


「これはお守りみたいなものだよ。」


咄嗟に祖母から貰ったものだと言ったけど、正直言うとこれが何なのか私にも分からない。


この指輪は私が物心付く前から持っていたらしく、誰から貰ったものなのか覚えていない。


「なーんだ。てっきり唯那の恋バナが聞けると思ったのに。」


「残念でした。
じゃあ、私こっちだから。」


分かれ道まで来ると、私はコートがあるほうの道を指差す。


「じゃあ、練習頑張ってね!」


裕美と別れてからコートへ向かうと、もう練習している人がいるのかボールがバウンドする音が聞こえてくる。


その音と共に聞こえてくるのは、毎日集まる女の子達の黄色い声。


女の子達が騒いでいるってことはレギュラー陣が来てるのか……


コートが視界に入ると、そこにはレギュラー陣の何人かが打ち合いを始めていた。


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