first love~世界で一番素敵な初恋~
「だったら怖いことなんかないよ。」
「え?」
「私が怖いと思うのは幽霊だけから。
そうじゃなかったら怖いなんて思わないよ。
…………だから、私と友達になろう?」
怖いものは幽霊だけ。そんなこと、この年の女の子からしたら当たり前のことかもしれない。俺はそれ以上、彼女に対して言い返すことは出来なかった。
「私の名前は佐倉唯那。キミの名前は?」
彼女の名前は知ってた。だって、クラスで一番の人気者だから。その人気者が……というより人から名前を聞かれるのは初めてだった。
俺は4歳であっても世界に名を轟かす西園寺財閥の御曹司。だから俺の名を知らない者はいないはずだった。