first love~世界で一番素敵な初恋~
劇は順調に進んで、
いよいよ最後のお姫様にキスをするシーン
俺は、舞台袖から現れ、唯那が眠るベッドの横に膝をつく。
鵬龍学園の学芸会ともあり、用意されたベッドは本物のベッドだった。
そこに静かに眠る唯那の姿があった。
唯那の寝顔は可愛く、俺は舞台の上だということを忘れて顔を真っ赤にしたことを覚えている。
俺はとにかく冷静を装って、ゆっくりと頭で確かめながらセリフを口にする。
そして、ゆっくりと唯那の手を持ち上げ台本通り、手の甲にキスをする。
すると、唯那も台本通りゆっくりと目を開けた。
でも、唯那の口から出たセリフは台本通りの『王子様!』ではなく…
「龍くん!!」そう言って俺に抱き付いた。
この時、観客席からは笑い声が聞こえてきたが、俺の耳には届いていなくて俺の名前を呼ぶ唯那を思いっきり抱きしめた。
最後にハプニングはあったが、学芸会は無事終わりを迎えた。