first love~世界で一番素敵な初恋~
それにしても、誰も口を開こうとはしない。
目の前に流れる空気はとても重いもので、とにかく早くこの部屋から出たくて仕方なかった。
「……あの、娘も帰りましたし、そろそろお話していただいてもよろしいでしょうか?」
誰も話さない重い空気の中、一番最初に口を開いたのはお母さんだった。
そろそろお話って、この人達はお母さんではなく私に話があって私が帰ってくるまでずっと待っていたってこと?
「そうですね、ではお話をさせていただきます。」
と、お母さんの言葉に返すように西園寺さんの左に座っている男性が口を開いた。
「まずは紹介をさせていただきます。
こちらは西園寺財閥の御曹司である西園寺龍我様にございます。」