first love~世界で一番素敵な初恋~
私がテニスを知ったのは確か小学校3年生の頃だった。
元々、体を動かすことが好きだった私は放課後になると男の子に混ざってサッカーや野球、バスケなどのスポーツをしていた。
昔から運動神経が良かったこともあり、基本的に基礎を教えてもらうとどんなスポーツでもすぐに上達してしまった。
そんな私にテニスを教えてくれたのが、当時よく一緒に遊んでいた女の子だった。
テニスを知らない私は、その女の子に無理矢理試合会場まで連れて行かれたのがきっかけ。
その大会は中学3年生までの選手が出場するジュニア選手権の全国大会の男子の部。
しかも中学生ばっかりだから皆背が高く強そうに見えたのを今でも覚えている。
友達は隣で大きな声を出して選手に声援を送っていたんだけど、私は正直楽しくなかった。
ボールの打ち合いとしか思っていなかった私は、ただボーッと試合を眺めているだけだった。
でも、そんな時、私は無意識に一人の男の子に目が止まっていたのを今でも覚えている。
大会には身長が高い男の子しか出ていないのに、その男の子は私と似たような背格好だった。
しばらくその男の子に注目していると、彼は選手らしくコートの真ん中に立つ。
最初はすぐに負けるだろうと思って見ていたけど、彼は小さいのにサーブ、レシーブ、ショット、スマッシュのどれもが鋭くて、気付けば引き付けられていた。
最初は興味がなかったはずなのに、気が付いたらその男の子を応援してたっけ。
彼が出る試合は注目して、名前も分からないのに頑張れって叫んでいた。
そうやって応援しているうちに彼は自分よりも年上の男の子を次々に倒していき、決勝戦まで勝ち上がった。
そこで彼と対戦する相手も似たような年の男の子だったけど、結局は彼が圧勝した。