first love~世界で一番素敵な初恋~
言いたいことを全て言い終えると指輪を西園寺さんの手に置く。
「あなたの本当の婚約者が見つかることを祈っています。では。」
それだけ伝えると、走って部屋を出ると自分の部屋まで走った。
はぁ。
まさかあの指輪にそんな意味があったなんて思わなかった。
物心が付く前から持ってた物だから結構気に入ってたんだけど、仕方ない。
あの人の婚約者になる方が無理な話だ。
それにしてもあの人、昨日は育ちの良さそうな敬語で話したのに。
きっと今日みたいな俺様が素なんだ。
そんなの余計に受け入れられるわけない。
……でも、あの指輪。
西園寺さんの本当の婚約者がつけるのか。
ちゃんと指輪を大切にしてくれる人に渡ったらいいな。
西園寺さんの婚約者には興味ないけど、あの指輪をもらって大切にしてくれない人だったら嫌だな……
部屋着に着替え、ベッドに横たわりながら思っていると、私はいつの間にか眠っていた。