first love~世界で一番素敵な初恋~


ピピピピピ………いつもの目覚まし時計の音で目が覚めると、寝ぼけたまま体を起こし、制服に着替えて準備をする。


大きな鏡の前で最終のチェックをすると、ふと首もとにつけていない指輪に気付き、昨日のことを思い出した。


そういえば、昨日、西園寺さんが家に来て私が西園寺さんの婚約者だって言われたんだっけ。


でも、もう指輪は西園寺さんの新しい婚約者に渡されるんだし、指輪のことはもう忘れよう。


今日からまた切り替えていけばいいことだし。


私はよしっと気合いを入れると、明るい笑顔を作りながらリビングへと下りていった。


「おはよう、お母さん。」


キッチンで朝ご飯を作っているお母さんに声を掛けたが、何故かお母さんの顔は元気がなさそうだった。


「おはよう、唯那。」


声も弱いし、お母さん、しんどいのかな?


「どうしたの?元気ないね。
お母さん、熱でもあるんじゃないの?」


すると、お母さんの目から涙が出て来て、気付けば溢れていた。


お母さん、どうしたの?

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