first love~世界で一番素敵な初恋~
「ねぇ、離しなさいよ!ねぇってば!」
彼らは私の言葉には耳を傾けずお母さんに頭を下げる。
「では、今日からお嬢様のことをお預かり致します。」
逃げられないように2人に両腕を捕まれて逮捕される犯人のような状態になる。
「よろしくお願いいたします。」
「離して!私はあの指輪を拾っただけで私の物なんかじゃない!
婚約者は他に居るんだからその人を捜しなさいよ!」
「では、この指輪をどこで拾われましたか?」
スーツ男の一人に聞かれるけど、そんなの覚えてるわけがない。
ただでさえ私は幼い頃のことを思い出せないのに。
きっとその時にどこかで拾ったんだ。
「覚えてないです。そんな昔のこと。
でも、これだけは言えます。
私は西園寺さんに会ったのは昨日が初めてなんです!」
「それでは答えになりません。」
「唯那、あなたには幸せになってほしいの。
だから、今は辛いかもしれないけど西園寺さんのところに行くことがあなたの幸せになるから。」
「何でそんなこと言うの?
私はまだこの家を出るつもりなんかないよ?」
だが、私の言葉はお母さんに届かず、昨日、家の前で見たリムジンに無理矢理乗せられた。
「おかあさーん!!」
でも、その声はお母さんに届くことなかった。