星の音 [2014]【短】
パラ、パラ、と同じような間隔で聞こえて来る小さな音。
それとオルゴールの音色をBGMにしながら、私もさっきまで読んでいた小説に視線を走らせていた。
10分が経とうとしていた頃、女性が息を小さく吐いた。
「あの……」
「はい」
「この詩集、頂けますか?読ませて頂いた商品(モノ)を、本棚に返す訳にはいきませんから……」
「あぁ、その事なら……」
「それに、こんなにも素敵な詩集を買わないなんて、絶対に後悔すると思うんです」
女性は、気にしなくてもいいと告げようとした私を遮って、とても穏やかな表情を見せた。
「ですから、これを売って頂けませんか?」
「そういう理由でしたら喜んで。袋にお入れしますね」
「お願いします」
私に詩集を手渡した女性は、外に何度か視線を遣ってソワソワとしている。
きっと、心に変化が訪れたのだろう。
「お買い上げ、ありがとうございます」
会計を済ませて詩集の入った紙袋を差し出すと、女性がフワリと笑った。
「私、今から彼に会いに行きます」
柔らかな表情と言葉に釣られた私からも、自然と笑みが零れた。
それとオルゴールの音色をBGMにしながら、私もさっきまで読んでいた小説に視線を走らせていた。
10分が経とうとしていた頃、女性が息を小さく吐いた。
「あの……」
「はい」
「この詩集、頂けますか?読ませて頂いた商品(モノ)を、本棚に返す訳にはいきませんから……」
「あぁ、その事なら……」
「それに、こんなにも素敵な詩集を買わないなんて、絶対に後悔すると思うんです」
女性は、気にしなくてもいいと告げようとした私を遮って、とても穏やかな表情を見せた。
「ですから、これを売って頂けませんか?」
「そういう理由でしたら喜んで。袋にお入れしますね」
「お願いします」
私に詩集を手渡した女性は、外に何度か視線を遣ってソワソワとしている。
きっと、心に変化が訪れたのだろう。
「お買い上げ、ありがとうございます」
会計を済ませて詩集の入った紙袋を差し出すと、女性がフワリと笑った。
「私、今から彼に会いに行きます」
柔らかな表情と言葉に釣られた私からも、自然と笑みが零れた。