意地悪な君に
~Boys side~
~Boys side~
美晴が委員長になったって聞いた時、俺はめちゃくちゃ嬉しかった。
学年が違うって事は、クラス変えや、選択授業っていう希望が一切無いわけで。
高校生にとってかなりの割合を占める重大イベントを、一緒に過ごせないハンデは大きすぎる。
強引に生徒会を手伝わせたけどそんな時間じゃもう足りなくて。
それに、生徒会室にいる時に見せる顔とは、違う表情が見れるのも嬉しかった。
いつもならダルいだけの委員長集会に向かう足もわくわくと浮き足立つ。
いつもは素直になれなくて、意地悪ばっかりしてるけど、ここでギャップを見せれば、“格好良い”って思うかもしれないし。
そんな期待に胸を膨らませて、教室のドアを開いた。
そこで、俺が見たのは……
体育館で美晴にキスしてた男……と、
その隣に、笑顔で座る美晴の姿だった。
なんで、よりによってアイツなんだよ。
多分、美晴の隣に座っていたのが他の男でも、イラッとしたんだろう。
だってその席は、俺がどんなに望んでも、絶対に座れない“同級生”の席だから。
でも!
アイツはない!!
特にない!!
まじヤダ!!
美晴も何で笑顔なんだよ。
もっと危機感持てよ。
集会が始まっても、イライラして集中出来ない。
壇上に立って皆の前で話をしていても、視界の隅で笑顔の美晴とあの男がチラチラと見えて、気が散って仕方ない。
結局…
いつもの俺なら何て事ない内容なのに、2回も噛んだし、話も上手くまとまらなかった。
あーあ……
こんなんで、ギャップでドキッとなんてするかよ…
こんなはずじゃなかったのに。
そうして俺のギャップでドキドキ作戦(野望)は、儚く散った。