意地悪な君に


!!

そうだったーーーー!!




「とりあえず叫ぶのやめろ。俺が変態だと思われたらどうしてくれる。」




私は恥かしさのあまり、顔を上げられず、座らされたソファの上で丸くなってしまった。

あぁ、もう。
穴があったら入りたい。



「うぅーーーーー」

「唸るな」



男は私が暴れなくなったのを確認して手を離すと、体をタオルで拭いて新しいシャツに着替えた。



----------------
----------------


10分後。


やっと落ち着いた私は、ソファに男と向かいあって座る。



「さっきはスミマセンデシタ」



私は男に深々と頭を下げた。
経緯はともかく、誤解して暴れたのは私の過失。
制服を貸してくれたり、助けれくれたのも事実だし。



「まったくだ。この俺がこんなヤツ襲おうとしたなんて思われたら、俺の評価が下がる」


「なっ・・・!!」



コイツ・・・!!
性格サイアクなんじゃないのーーー!?
せっかく人が素直にあやまってるのに!



「謝ってるのに!そんな言い方ないじゃないですか!!」

「それが悪いと思ってるやつの態度か」



悔しいーーー。
何を言っても言い負かされる。
唇を噛んで、ジリジリと男を睨んだ。



男はフンッと鼻で笑うと「ちょっと待ってろ」と言うと、部屋の奥に消えた。



「?」



残された私はする事もなく、何気なく背伸びをして窓の外を見た。




あ・・・

入学式が終わったらしく、体育館からはゾロゾロと生徒が出てきている。


あぁ・・・
高校生になったら楽しい学生生活って夢見てたのに、初日からサボッてしまうなんて・・・

出だしから躓いてしまった事に、私はとんでもなく絶望した気分になり、
さっき一度は引っ込んだ涙が、またじんわりと溢れてきた。




< 11 / 156 >

この作品をシェア

pagetop