意地悪な君に
8月になった。
休みは、思い切りサッカーが出来るから好きだけど、今年は特に楽しみにしていた。
その理由は、もちろん美晴。
「としにぃは、夏休みも学校で忙しいんだよー。だからゆーにぃ、宿題手伝ってー」
そんなの僕が断るわけないよね。
初めて年上であることを活かせる機会。
しかも、俊君抜きで。
わくわくしながら迎えた夏休み。
待ち合わせは美晴の家の近くにある噴水公園。
そこからふたりで図書館に行って宿題を始めた。
「手伝って」なんて言っていたけど、美晴は一人で一生懸命問題に向かう。
うんうん唸って考えて、それでもどうしてもわからない時だけ僕に聞いてくる。
頑張り屋すぎる美晴は宿題がなかなかはかどらず、夏休み中暇さえ見つけてはふたりで宿題をした。