意地悪な君に



翌朝、僕は両親の“おはよう”で目覚めた。


今日で12歳。
昨日までの僕とはどこも違わないのに、何だか気分は少し大人になったような気がする。



朝ご飯は僕の好物のプレーンオムレツだった。
僕のリクエスト通り。



“これしか出来なくてごめんね”と母さんは仕事に行ったけど、謝る必要なんてない。
だって最高の朝だもん。




一人でオムレツを頬張りながら、格好つけてニュースを見ていると電話が鳴った。

誕生日のせいか、なんとなく良い予感がして受話器を取ると、期待通り聞こえてきたのは美晴の声で。


今日も会えるっていうのに朝から声が聞けて、今日はやっぱり良い日だ。


「ゆーにぃ?あのね、今日の約束ね、2時に約束してたでしょ?
でもね、今日は大物を片付けたいから11時に来れないかなぁ?
図書館で出来ないから、うちに来て~」



僕の返事も聞かずに一気にまくし立てたと思うと、言うだけ言って電話は切れた。


全く…
美晴はせっかちだなぁ。


まぁ、僕が断るはずないんだけどね。



会える時間が3時間も前倒しになり、僕は益々上機嫌になった。





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