意地悪な君に
「おじゃましまーす」
囁くように言ってみるけど、やっぱり返事はない。
靴を揃えて、一瞬躊躇したけど、意を決して廊下を進む。
静か。
やっぱり留守なのかな。
「あのー、美晴…?
いないの?」
いるかどうかわからない美晴に声をかけるけど、当然僕の独り言。
廊下の左側。
リビングのドアに手をかけ、ノブを回す。
カチャ
隙間から見えたのは暗いリビング。
電気も消してあり、昼間だと言うのにカーテンも締め切っていて薄暗い。
「はいりますよー」
誰に言うわけでもない独り言をもう一度呟いて、僕はそーっと部屋に滑り込んだ。
そして、前に来たときにも掛けたソファに腰を下ろす…
と、同時。
『パンッ!!』
大きな破裂音と眩しい閃光が僕を包んだ。
何が起こったのか、僕には理解出来なかった。