意地悪な君に
一瞬、何が起こったのかわからずに、視界がスローモーションになった。
破裂音のした方を振り向くと、キッチンカウンターの影から美晴と俊くん、美晴ママが満面の笑みで飛び出してくるところだった。
手にはクラッカー。
カラフルなリボンや紙くずをヒラヒラさせている。
さっきの破裂音の正体はこれか。
美晴が僕に何か言っているけど、混乱のせいか、頭に入ってこない。
時間をかけて状況を理解する。
そうしている間にも、僕の周りにみんな集まり、笑顔で何か言っている。
“おめでとう!”
えーーーと。
これは。
もしかして……
つまり……
「誕生日パーティーか!?」
僕はやっと状況を理解した。