意地悪な君に
「ゆーにぃ、気付くの遅いよー
言ってんじゃん、お誕生おめでとうって!!」
さっきまで暗くて気付かなかったけど、よく見ると部屋中の壁が、折り紙で作った輪っかや、サッカーをしてる僕(?)の絵とか、色んな物で飾られていた。
美晴……
僕の誕生日のために…?
昨日、僕の誕生日を知って、慌てて準備してくれたんだろうか。
なんだよ、これ。
めちゃくちゃ嬉しい。
今朝まで、僕は最高の誕生日だと思っていたけど、美晴は僕の最高を安々と塗り替えてしまった。
誕生日を祝ってもらうって、こんなに嬉しい事なんだ……
「ゆーにぃは寂しくないって言ってたけど…やっぱり、私はゆーにぃをお祝いしたかったの!」
美晴。
嬉しいよ、すごく嬉しい。
「美晴、ありがとう…
本当にありがとう。」
目に涙が溜まる。
嬉しくて涙が出るなんて、なんて幸せな誕生日。
「さあさあ、座って頂戴!ゴハンとケーキをいただきましょう!」
美晴ママの声を合図に僕たちはダイニングテーブルについた。
涙を見られたくなかった僕は助かった。