意地悪な君に




そして、僕の目の前に置かれたのは――――


巨大なチーズケーキ。



「わぁ、美味しそう!!」



まさかケーキまで用意してくれてるなんて。

あれ?
でも、なんでチーズケーキ?


普通、誕生日っていうと、生クリームとか苺とか載ったやつじゃないのかな?

家でバースデーケーキなんて食べた事ないからイメージだけど。


不思議な顔をしている僕に、何故かモジモジする美晴。


すると、美晴ママがニコッと微笑み言った。



「美晴が作ったのよ、ね?」

「えっ!!ホント!?すげーー!!!」



ケーキを作る人なんて僕の周りにはいなかったから、びっくりした。



「ケーキって作れるんだ…美晴、すごいな!!」



ケーキは買うものだと思っていたから、まさか僕より年下の美晴が作れるなんて思いもしなかった。

美晴は照れているのか、恥ずかしいのか、顔を赤くして俯いている。



「本当はデコレーションにしたかったんだけど、まだ作った事なくてね。チーズケーキは得意だったから…ごめんね、誕生日っぽくないケーキで」

「なんで?僕、チーズケーキ大好きだよ!美晴ありがとう、めちゃくちゃ嬉しい!」



ケーキの上に立てられた12本の蝋燭を一息で吹き消すと、美晴も、俊くんも、美晴ママも、みんな笑顔で拍手してくれた。



「「「おめでとー!!」」」



美晴ママがケーキを切り分けてくれている間に、また美晴は席を立ってしまった。

そして、背中に何かを隠してすぐに戻ってくる。



「美晴、何を隠してるの?」



美晴は答えずに僕の隣に来ると、背中に隠していたものを、コトリとテーブルに置いた。



「これ…って……」



小さな包みにはカラフルな包装紙と赤いリボン。

これって、もしかして――――



「プレゼント」



美晴が呟いた。





僕に?

こんなパーティーを開いてくれただけでもすごくすごく嬉しいのに、ケーキまで焼いてくれて、まさかプレゼントなんて…!



「開けていい?」



美晴ママや俊くんが暖かく、見守るなか、僕はリボンをほどいた。




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