意地悪な君に



そんな卑怯な私には、勿論神様が味方してくれるはずもなく。

何度か生徒会室の前を通る事があったけど、一度も悠先輩の姿を見ていない。





今日も、僅かな可能性に胸を鳴らして、部屋の前を通る――――




ドキドキ――――



ドアの前を通る瞬間、僅かにスピードを緩める。




部屋の中に人の気配はするけど、それが悠先輩なのか木下先輩なのかはわからない。




ドキドキ――――










はぁ……



やっぱり。

今日も悠先輩には会えなかった。

最近何度も味わっている寂しさなのに、やっぱりそれは私の胸をグサグサと刺してくる。




自業自得だよ、美晴。
そっと自分に言い聞かせる。


こんなに傷付くくせに、千紗に悠先輩との事を聞く勇気もない。

嫉妬深くて、勘違いで、自分勝手なうえに、意気地無しなんて、終わってる。





ガラッ――――

私は、ひとりで暗い学園祭準備室に入った。



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