意地悪な君に



ガラッ


「意外と力あるんだねー柳君」

「意外ってどーゆー事!」


二人で笑いながら廊下に出た。





――――瞬間




なんで……

廊下の奥には、あんなに会いたいと願った悠先輩がいた。




悠先輩は先に私達に気付いていたのか、こっちをじっと見て。

――――何も言わず、じっと見るだけ。



別に見られてマズい事なんてないはずなのに、柳君と二人でいるところを見られた事が堪らなく気まずい。



「…………」



沈黙だけが、3人を包む。




あんなに会いたいと願っていたくせに、いざとなると言葉が出ない私。

だめ、何か言わなきゃ……



「あ、の……」



勇気を振り絞って声を出そうとしたけど、すぐにそれは悠先輩の言葉に遮られてしまった。



「有言実行ってわけか」


え…?
どういう意味?

悠先輩の言葉の意味がわからず返事に詰まる。


すると、意外な事に、悠先輩の言葉に柳君が答えた。



「まあね」



え、今のは私じゃなくて柳君に言ってたの?



「ふぅん、仲良いってわけだ」

「それはそっちも同じじゃないんですか?それとも今は違う?」

「今は?最初からだろ」

「そうですか?少なくとも俺から見ると――――」



待って。
私、完全に蚊帳の外なんですけど。

一体この二人は何の話をしてるの???

っていうかこの二人、面識あったの?



「隙につけ込むつもりはないんですけどね、勝手に風向き変わったんで」

「好きにすれば?」



きょとんとする私は放置で、まだまだ二人のやり取りは続く。

勿論私は蚊帳の外。




え…、ナニコレ。




< 128 / 156 >

この作品をシェア

pagetop