意地悪な君に




ガチャリと開く玄関のドアはいつもより重い気がした。

大きく深呼吸し、顔を上げた瞬間――――



「美晴!!!」



門扉の影に千紗が立っていた。



「千紗…?どうしたの!?」



いつも公園で待ち合わせてるから、千紗が朝迎えに来た事なんて今まで無かった。


千紗は、今まで見たことの無い真っ赤な顔をして、私に怒鳴った。



「バカ!!あんたが昨日いなくなったって聞いて、心配したんだからね!
メールも電話も繋がらないし、何かあったのかって、めちゃくちゃ心配した!!!」


肩を震わせて一気に捲し立てる。





うそ…………


「ちさ…ごめ…ん…」


バカだ私。


全く気付かなかった。
そんな心配をさせてるなんて…


うだうだ自分の事しか考えないで、メールも着信も、確認すらしなかった。

心配かけてる事にも気付かずに……




「ちさ、千紗ごめんね…」



涙がポロポロ零れる。

ありがとう、こんな私に怒って心配してくれて。


……やっぱり千紗は優しい。



「もう…ホント心臓止まるくらい心配したんだからね!」



呆れたように溜め息を吐いた千紗は、言葉とは裏腹に優しく肩を撫でてくれた。




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