意地悪な君に



昼休みまでの授業は全く頭に入らなかった。


昨日突然帰ってしまった事で、何人か心配してくれたクラスメートが話しかけてくれたけど、それすらどう返事したのかよく覚えていない。


電源を入れたケータイには、千紗からのメールと着信の他に、柳君からも何度か着信があったけど、朝“おはよう”と言ったきり柳君は話しかけてはこなかった。

何かを察してくれたのかな。

少し落ち着いたら、柳君にはきちんと私から話をしよう。



そして、また私の胸をチクリと刺すもの。
ほんの少しだけ期待した、悠先輩からのメールは無かった。

だよね。




千紗の事があるなら、変に期待させないだけマシだって思わなきゃ――――





そんな事を考えていると、チャイムが鳴った。


昼休みを告げる、チャイムが――――



私と千紗は、静かに席を立つと屋上へ向かった。


風は心地よく、こんな緊張したシーンでなければ絶好の日向ぼっこポイントで。

今から話す内容に鬱々としている私とは対照的に、酷く皮肉な空に見えた。






< 139 / 156 >

この作品をシェア

pagetop