意地悪な君に
「…うん。」
わかってるよ、千紗。
ありがとう。
きちんと私に報告してくれるんだね、
わかってる。
私はわかってから――――
でも、続けた千紗の言葉に、私は耳を疑った。
「あのさ、私の好きな人ってあの生徒会長じゃないからね」
――――――――
――――え。
「…………」
「…………」
「――――は!?」
頭が真っ白で、千紗の言葉の意味が理解出来ない。
生徒会長って悠先輩の事だよね!?
今、好きな人が悠先輩じゃないって言った???
「ちょっ…ちょっと待って千紗、確認!
千紗の好きな人、会長じゃないって言った!?」
「うん言った。って言うか、私あいつの事好きなんて言った?」
「言って…ないね」
「言ってないでしょ?」
確かに、千紗は言ってないけど、でも。
「…でも、昨日生徒会室にいたでしょ?
悠先輩と二人で…」
そう、私が確信したのは昨日の件が決め手だった。
だから思い切って千紗に疑問をぶつける。
「美晴、気付いてたの!?」
「悠先輩は隠したつもりみたいだけど、千紗の香水の香りがしたから…」
千紗は何かに気付いたように私を見る。
「…もしかして、昨日美晴がいなくなったり連絡取れなかったのって、それが原因!?」
少し悩んで、私は小さく首を縦に降った。
と、同時に千紗が私に抱きついてきた。
「千紗…?どうし…
「美晴ー!ごめんね!!誤解だよ!!
確かに昨日会長といたけど、そういうんじゃないよ。ちゃんと説明すればよかったよね、ごめんね!」
珍しく取り乱した千紗は、私に抱きついてる。
「千紗…」
私は朝千紗がしてくれたように肩を優しく撫でた。
なんだろう、つまり…
悠先輩と生徒会室に二人ではいたけど、
何か理由があったってことなんだろうか?
でも、悠先輩が隠したがったって事は、私がその理由を聞くわけにはいかないよね。