意地悪な君に
「千紗、私の方が勝手に勘違いしたんだから、もう気にしないで」
ね?
と、もう一度繰り返すと、千紗はゆっくりと私から離れた。
「美晴…」
それから、言葉を選ぶように私に話してくれた。
「…昨日、会長と一緒にいたのは、会長から相談を受けてたからなの。 相談の内容は言えないけど、私と会長は別に付き合ってるとかじゃないよ…」
相談か……
正直、年下の千紗に何を相談してるのか気にはなるけど、そこは私が聞くわけにはいかない。
それよりも。
気になること、聞いちゃっていいかな。
「…千紗は?
入学式の日、会長を狙うっぽい事言ってたし、一番最初に私と一緒に生徒会室に行った日も、二人で奥の部屋で話してたし…
付き合ってないにしても、千紗は悠先輩の事好きだったりするんじゃ――――」
「違うよ!!」
私の問いに、千紗は全力で否定した。
「さっきも言ったけど、私も好きな人がいるし、それは会長じゃない。
早く言えば良かったんだけど、美晴にはなかなか言えなくて…
もうずっと前から、中学の頃から好きなの」
――――ショックだった。
千紗とは親友で、何でも話せる仲だと思っていたのに。
そんなに長い片想いを、私に打ち明けてくれなかったなんて――――