意地悪な君に



爽やか先輩は、木下先輩っていうのか。
しかし、本当に爽やかでかっこいい人だなぁ。


あ、木下先輩って、パーフェクトって噂の生徒会長なんだよね?(想像)
じゃあ、今まで入学式に出てたのかな。


すると、木下先輩も何かに気付く。



「あれ?佐伯さん、一年生でしょ?入学式出なかったの?」

「・・・そうなんです、実は・・・」



思い出してまた泣きそうになる。
そんな私の涙腺に男が追い討ちをかける。



「この馬鹿、噴水に落ちてやんの」

「・・・!!」



木下先輩の前で意地悪な言い方をされて、私はまだじんわり涙が出てきた。



「こら悠、女の子にそんな言い方するなよ!ごめんね佐伯さん。コイツいつもはこんなやつじゃないんだけど・・・」



男は「はいはーい」と舌を出している。


さっきは私も悪かったけど、コイツも絶対、悪い!
横目で男を睨むけど、ひょうひょうとしている男の態度に余計に腹がたつ。


それよりも、今は木下先輩だ!



「先輩は、今まで入学式ですか?」

「え、うん・・そうだけど、何でそれを知ってるの?」



「?」

「?」

「?」


全員の頭の上にハテナが浮かぶ。



えーーーと?
私変な事言ったかなぁ?


木下先輩は生徒会長だから、入学式で挨拶的なものがあったんだよね?




「一樹さ、俺の代わり?」

「そうだけど、俺、言ったっけ?」

「まぁ、俺は考えればわかるけど・・・コイツは・・・」

「だよね?俺も言ってないし。」





何?

この二人の会話が全然わかんない。




「佐伯さん、コイツ。その様子じゃ自己紹介もしてないんだよね?」




木下先輩が、男を指して言った。




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