意地悪な君に
「はい・・・」
なんでここでこの男が出てくるんだろう?
「こいつは、坂崎悠。この学校の生徒会長なんだ」
木下先輩に紹介された男は、ソファに深く体を沈めて「そ」と言った。
「・・・・・・・うそ!!」
思わず先輩に向かってそんな言葉が出てしまう。
クックッと笑い、先輩が説明してくれる。
「ホントだよ。今日はコイツが体育館に来なかったから副会長の俺がかわりに挨拶したけど。」
「だって・・・!!
生徒会長は、格好良くて、勉強もスポーツも出来るパーフェクトなイケメンだって聞きました!!」
「おま・・・」
唖然とし、絶句する悠先輩。
その隣で木下先輩は吹き出した。
「コイツは全く当てはまらないじゃないじゃないですか!!」
木下先輩は笑って話せない。
だって、だって。
私はてっきり木下先輩が生徒会長だとばかり!
千紗ぁ・・・
千紗の王子様になるはずだった生徒会長は、こんな意地悪男だったよー。
絶対、千紗には勧められない・・・
とかそんな事を考えてると、となりで低い声が響いた。
「オマエ、後悔すんぞ」
気付いたときには遅かった。
悠先輩の周りには、さっきと同じドス黒いオーラが纏っていた。