意地悪な君に
「じゃあ改めて佐伯さん、俺が木下一樹、副会長」
優しくて、どうみても完璧に非の打ち所のないイケメンが私に微笑む。
「で、俺が噂の生徒会長。ザンネンだったな。」
ドス黒い男がニヤリと笑う。
千紗は、一体どこからあんな誤報を仕入れてきたんだろう。
折角、恋するんだって意気込んでたのに。
確かに悠先輩は「顔だけは」かっこいい。
ただ、顔だけだよ。
性格は、千紗に遠く及ばない。
ただ、木下先輩はイイかも。
爽やかで、完璧。
「じゃあ、ここは生徒会室ですか?」
それなら、なんかわかるかも。
ソファがあったりマイ紅茶を置いてたり。
制服は謎だけど、書類もきっと大事な生徒会の書類だったんだ。
「そうだよ。まぁ、今は僕ら2人しか出入りしてないんだけどね。」
「え?生徒会って他に人がいないんですか?」
木下先輩は、「うーーーん」といいにくそうに苦笑いしている。
あれ?
聞いちゃいけない感じだったかな・・・
悠先輩の方をチラっとみると、相変わらずニヤリと笑った。
「だからだよ、オマエの出番。」
「へ?」
きょとんとする私に、悠先輩が言う。
「よかったな。早速償いが出来るぞ」