意地悪な君に
悠先輩は、わかる。
何かわかる。
さっきまでの流れで、きっと私に何か言ってくるって、この短時間で、なんかわかった。
「き、木下先輩・・・?」
私の腕をつかむもう一人は、もちろん木下先輩。
優しく微笑んで言う。
「逃げちゃだめだよ。(ニコッ)」
え、ちょ・・・
木下先輩も、こーいうキャラなの?
戸惑い、どうしていいかわからずに何も言えないでいる私。
「逃げんなコラ」
悠先輩の手にギュッと力が入る。
「離して・・・下さい・・・」
どうしよう。
逃げられない・・・
「話、聞く?」
有無を言わせない低い声。
それは木下先輩の声だった。