意地悪な君に



沈黙が生徒会室を包んでいた。

誰が沈黙に耐えられず、声を発するか。





わかっていた・・・
声を発したら、負けだって。
何に負けるのかわからないけど、負けだって。





でも・・・


私は言った。



「わかりました。聞きます。聞くから、離して下さい。」



2人は顔を見合わせると、納得したようにそっと私の手をはなし、ソファに座った。

私も2人の前に腰をおろす。




「で、何をすればいいんですか?」

「ふーん。聞きわけいいじゃん。」



悠先輩が私に言う。
その笑顔は、さっきまでのニヤリ顔じゃなく、本当に嬉しそうに見えた。




「私も、確かに迷惑かけたし、役に立つことがあるなら・・・」




悠先輩は、一瞬驚いたような顔をしたけど、すぐにさっきの顔に戻った。




「よし。じゃ、単刀直入に。明日から生徒会を手伝って」



なんとなく予想はしていたけど、あまりにも予想通りで逆に驚いた。



「あの、でも・・・私、生徒会役員じゃないし、それに1年ですよ?」



木下先輩は微笑んで「ま、大丈夫でしょ」と言う。


大丈夫って、何を根拠に・・・

ってか、大丈夫なわけ、ないでしょ・・・。





不安な視線を悠先輩に向けると、ニヤリと笑い、




「雑用やらせるくらい、誰にも文句言わせねえよ」と言い放った。




「もし、何か言ってくるヤツがいればすぐ俺に言え。絶対守ってやる」




もしかしたらニヤリ顔は、自信の現れなのかな?

始めて、強気な発言を心強く感じたのは、私だけの秘密。




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