意地悪な君に
そのあと、木下先輩は先に生徒会室を出て行った。
まだ、入学式の片付けがあるらしい。
だから、つまり。
部屋に悠先輩と2人残されてしまった。
「えっと・・・私も教室に行こうかな。入学式さぼっちゃたし、早速怒られなきゃいけないし。」
そう言って立ち上がると、当然のように悠先輩も立ち上がった。
「よし、じゃあ行くか。」
「?」
先輩がどこへ行くのか疑問に思い、首を傾げると、
「何やってんだよ。」
私の前を歩き、1年の教室に向かいだした。
「あの?先輩?」
パタパタと先輩の後を追う私。
先輩は面倒くさそうに首だけこっちを向き、「なんだよ」という。
「先輩、1年に用でもあるんですか?」
全く心当たりがないので、率直に聞く。
誰か知り合いがいるとしても、今はまだホームルーム中だし。
すると先輩は小さく溜息をついて
「馬鹿。わかんなきゃ黙ってついてこい。」
そう言って、あとは黙りこんでしまった。
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『1-C』
はぁ・・・
叱られるのは仕方ないにしても、やっぱり気が重い。
今日から1年間通う事になる教室の前で、心の準備をする。
「準備できたか?」
意外。
私の心の準備を、待っててくれたんだ。
優しいトコあんじゃん。
「ハイ。じゃあ、行ってきm・・・」
言い終わらないうちに、悠先輩がガラッと教室の扉を勢い良く開き、中に入って行った。
「先輩・・・!?」