意地悪な君に



ざわざわが落ち着くと、さっき私のせいで中断していた自己紹介が再開された。
途中だった千紗から始まる。



「西中からきた、橘千紗です。中学では吹奏楽部でした。宜しくお願いします。」



パチパチパチ・・・


一瞬にして、教室の空気が千紗のものになった。
さっきまでの嫌な空気は消えたみたい。


男子は綺麗な千紗に見惚れているし、女子からは憧れの視線。
千紗は綺麗なのに同性にも嫌われないタイプ。


それも千紗のスゴイところ。




あ・・・!!
やばい!!



千紗が席につき、ひとつ後ろの子が席を立つ。


つまり、私の2つ前。
私の番もうすぐじゃん!!



自己紹介って、何を言えばいいの!?!?


えーーっと。
まず名前でしょ?
それから出身中で、他には?
他には何を言えばいいんだろう?



そうこうしているうちに、私の前の子が立つ。

何か言っているけど、そんなの私の耳には全く入ってこない。





きゃーー!
次だっ!!



えーーーっと、えーーーっと・・・





部活?

部活を言えばいいの?

あとは、なんだろう。

それだけでいいのかな!?




あ、違う!
まずは名前で・・・それから出身・・・





「・・・えきさん・・・佐伯さん!!」





隣の席の男子に声をかけられハッとすると、すでに私の番になっている。





「あっ、ハイ!!」





------ガタッ




慌てて立ち上がろうとした・・・その瞬間、


スカートがイスに引っ掛かり、




「きゃっ!!」





ガッターーーーーン!!!!!





私は椅子ごと思い切り、すっ転んでしまった・・・




< 25 / 156 >

この作品をシェア

pagetop