意地悪な君に
でも、そんな私を見て、千紗は笑い転げている。
全く・・・!!
人事だと思って!
「とにかく!!今日は色々ありすぎて疲れちゃった。会長とは変な約束しちゃったしさぁ。」
これ以上笑われたくないので、無理やり話題を変える。
あ・・・
今気付いたけど、例の約束・・・
何曜日に活動があって『いつまで』手伝えばいいのか聞くの忘れてた。
まぁ、そのうちまた会った時にでも聞けばいっか。
「千紗はさ、会長に期待してたのかもしれないけど、やめたほうがいいよ。アイツ性格サイアクだもん。それより木下先輩の方が優しいし爽やかだし、全然イイと思う!!」
千紗に一生懸命訴える。
アイツの事を好きになんてなったら、絶対苦労するもん。
そんなの絶対ダメ。
「まぁ、いくら格好良くても性格が悪けりゃ論外だし。ちょっとテンション上がってキャッキャ言いたかっただけだからそれは気にしないで。」
冷静なようで辛辣なコメントを放った千紗は、突然真面目な顔になって、今度は私に言った。
「でもさ、会長って結局どういう人なんだろうね?」
「えっ!!性格サイアクでしょ!」
私は千紗の疑問に即答する。
「んーーでもさ、噴水では結局助けようとしてくれたわけでしょ?」
「まぁ、それはそうかもしれないけど。」
「それに教室でのアレも、先生に叱られないようにわざわざ嘘までついて助けてくれたんじゃないの?」
えっ、そうだったの!?
私はあの時、パニックと緊張で、そんな事思いもしなかった。
ただ豹変ぶりにビックリはしたけど、でも。
・・・でも確かに、千紗の言う事にも一理あるのかもしれない。
いや、でも・・・
私の頭の中は、色んな考がぐるぐる回る。
「でも!!でもとにかくちょー意地悪だし、怖いし、危ないヤツだよ!!」
そうかなぁ、と千紗は納得が行かない様子。
「きっと、それもまた恩着せがましく、私に借りを作らせようとしてるんだよ!きっとそのうち言ってくるよ、『償え』ってね」
そんな恐ろしい推測を勢いで口にしてしまった私。
それはすぐに現実となってしまうことを、まだ私は知らない。