意地悪な君に



門からは桜並木が続いていて、私達はその下を通ってクラス発表を見に行った。

先に見つけたのは千紗。


「あった!!同じクラスだよ!やったぁ美晴っ」

「良かったー!!ヨロシクね、千紗」

「こちらこそヨロシクねっ」


千紗と同じクラスで本当にホッとした。
実は人見知りな私は千紗がいないと不安で仕方ない。

中学が同じ子が他にもいなくはないけど、少ないんだよねぇ。

入学式が始まるので、新一年生はぞろぞろと体育館に向かいだした。



「私達も行こっか」

「うん、実は入学式の楽しみがあるんだぁ」



千紗がニヤっと笑う。

楽しみ?
入学式なんて退屈な話を聞かされるだけじゃないのかな…

疑うような視線を千紗に向ける。


「美晴は知らない?ここの生徒会長」

「生徒会長ぉ?知らないよ、縁がないもん」

「ま、そうだよね。私もまだ見た事ないんだけど、これが格好イイらしいの!」


珍しく千紗が男の話題で興奮している…

千紗はモテるのに彼氏がいない。
寄ってくるのが多すぎてうんざりしていて、色恋沙汰には興味がないみたいなのに。珍しい。



「だってね、格好イイだけの男なら沢山いるよ?でもね、勉強も出来てスポーツも出来て…パーフェクトなんだって!」

「で、入学式でその生徒会長が出てくる、と。」



千紗は大きく頷いた。



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