意地悪な君に
「は・・・離してください」
悠先輩は私の右腕を掴んだまま立ち上がった。
少し屈んでいるから、顔の高さが私と同じくらいの高さになる。
「やだね・・・」
顔が近い
「ちょ・・・先輩、ふざけないで・・」
逃げようと後ずさると、壁にぶつかってしまった。
これ以上逃げ場がない。
「・・・!」
目が逸らせない。
「なぁ、俺が教えてっていったら、ケータイ教えてくれたの?」
!!
上目遣いで寂しそうに言う。
なんなの、それ。
まるで、こんなの・・・
私は返事が出来ないで固まってしまう。
「なぁ・・・?」
顔が近づく。
至近距離で目を見つめられる。
「・・・せんぱ・・い」
距離が、詰まる。
もう・・・だめ・・・
私は、グッっと目を閉じた。