意地悪な君に



先輩は俯いたまま。
さっきのは何だったのか、何も言ってくれない。


私は先輩の向かいの席に腰をおろし、窓の外を見た。


でも、頭の中はさっきの事が気になって、他のものなんて目に入らない。
さっきまでのドキドキも、まだおさまらない。


気まずい雰囲気のまま、時間だけが流れていく。





「・・・・・・。」





どれくらい時間がたったんだろう。
突然、先輩が立ち上がった。



そして、机の上に山積みになった書類の束を指して言った。



「コレ、整理しとけ」



え・・・・?


私は先輩の近くに寄って、指された書類をみた。

なにこれ。
膨大な量。


しかも、何かの資料みたいだけど、日付がバラバラに混ざっちゃってる。



「こんなに・・・!?ムリですよ!!」

「終わるまで帰るなよ」



さっきまで変だったと思ったら、突然意地悪な先輩に戻ってしまった。





一体なんなの?




だいたい、こんなの出来る訳ないでしょ!

文句を言おうととっさに先輩の方を振り返ると、背後に立っている先輩の顔が思ったよりも近くにあって、私は至近距離で見上げるかたちになった。




「・・・・・・っ!!」




一瞬、先輩が顔を真っ赤にしたように見えた。


でもそれは本当に一瞬で、すぐに後ろを向いたから気のせいかもしれない。





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