意地悪な君に



先輩が出て行った部屋にひとり残されて、私はとりあえず紅茶を淹れた。


先輩が部屋に置いてある紅茶は私の昔から好きな銘柄と同じものだった。
昔から私は紅茶が大好きで、特にアールグレイが大好きだった。



そんな偶然の一致が、なんか悔しい。



ひとりで温かい紅茶を飲んでいると自然と悲しみは薄れてきた。

そういえば、昨日もそうだったな・・・



泣きそうになっていたら先輩が紅茶を淹れてくれて。




・・・そういえば、
私も昔から、悲しい事や辛い事があったときには紅茶を淹れてた。


友達と喧嘩した時、部活で結果を出せなかった時、テストの点が悪かったとき・・・

いつもアールグレイを飲んでた。
すると自然と涙が止まるから。



クセみたいに自然にしていたけど、あれって何がきっかけだったんだっけ???
小さい頃はそんな事なかったと思うけど・・・

何かきっかけがあった気がするけど、思い出せない。

記憶にボンヤリと影がかかっていて、あと少しで思い出せそうなのに思い出せない感じ。




・・・・・。



んーーーーー

ま、いっか。





それにしても、凄い量の資料。
私は紅茶を飲み終わると作業に取り掛かった。








でも!
ホントに多い資料!!


やってもやっても残りの量は減らなくて。

次第に外がザワザワして、皆が登校してきたのがわかる。




でも、もしかしたら…
そのうち悠先輩が戻ってくるかも…と言う淡い期待を胸に、作業した。









…けど。



悠先輩が現れる事はなく、ついに朝の時間はなくなってしまった。

ついにHRが始まる時間になり、私は途中まで作業したのをそのままにして教室へ向かった。






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