意地悪な君に
桜並木の下を千紗と体育館に向かう。
あれ…?
やばい…
オナカ痛くなってきた。
初日で緊張してるのかなぁ、どーしよう・・・
ああ、でも、だめだ。
入学式が始まってしまうとトイレに行けない。
「千紗ゴメン、先に体育館行ってて、私トイレ行ってくる」
「え、一人で大丈夫?」
「大丈夫、先に行ってて!」
小声で千紗に告げて、私は今来た桜並木を逆走し、校舎に入った。
(トイレどこだ!!)
入試ぶりの建物で、トイレの場所なんてわからない。
「どうしたの?」
刻々と迫る入学式の開始時間に焦りながらキョロキョロ廊下で困っていると、突然後ろから声をかけられた。
声の方に振り向くと、背の高い、目鼻立ちの整った、
うん、つまりイケメンがいた。
「新入生だよね?迷ったの?」
「ハイ…お手洗いを探してて…」
イヤーーー!
イケメンにトイレとか聞きたくないぃ!
「ここからだと裏庭が一番近いよ、ほらそこに見えてる」
イケメンは裏庭を指さし、にっこり笑った。
「ホラ、早くしないと入学式はじまっちゃうよ?」
「はい!あ、ありがとうございました!」
「どーいたしまして」
イケメンはひらひらと手を振ってくれたので、私は腰から90度折れ曲がってお辞儀をした。
すごいなぁ、さすが高校クオリティ。
校内にイケメンがいるなんて。
「あ・・・。」
なんとか無事にトイレを済ませ、ふと気付く。
ピンチに現れ助けてくれ、優しくて格好イイ、上級生…
しかも笑顔ステキ
少女まんか的流れで言えば…
ゴメン千紗、
あれ生徒会長・・・だわ。