意地悪な君に
「じゃあ行かないの?」
「~~~っ」
正直、どうすればいいのか本当にわからないんだもん。
先輩にあんな事されてまで行かなきゃだめ?
確かに昨日は助かったけど・・・でも。
どうして先輩がみんなの前では猫被ってるのかは知らないけど、私にだけあんな意地悪される理由はない。
よし、決めた。
「行くの、やめる。」
私は、千紗の顔を正面から見て、そう言った。
優柔不断な私の、決心。
なのに、千紗はそんな私の決心を聞いて意外そうにした。
「そっか・・・ ま、美晴の決めた事なら仕方ないね・・・」
そして、帰ろっか。といって鞄を手にした。
え・・・?
千紗・・・?
どうして・・・?
その残念そうな反応は、どうしてなの?
でも、何故だか私は千紗には聞けなかった。
なんか、聞いちゃいけない気がしたんだ。
千紗がガラリと教室のドアを開け、廊下に出る。
私も慌てて鞄を手にすると、千紗の背中を追いかけた。
でも、廊下に出た千紗は、そこでピタリと立ち止まって動かなくなってしまった。