意地悪な君に



先輩に誘導されるカタチで生徒会室へ向かう。


千紗の提案は意外だったけど、正直嬉しい。
すごく助かったし、心強い。

私自身の安心感もだけど、それ以上に先輩を牽制できた事がすごく心の余裕になった。





(もう、好き勝手させないんだから。)




いつの間にか夕方の空が、私達3人を赤く照らしている。

誰も何も話さず、私達は生徒会室に着いた。




「遅かったねー」



部屋に入ると木下先輩が迎えてくれた。




「木下先輩!!」



木下先輩は、突然の来訪者に驚きもせず、千紗に笑顔を向けた。

やっぱりこの笑顔、癒されるなぁー



「千紗は木下先輩初対面だよね、こちら2年で副会長の木下先輩!」


「橘千紗です。入学式でスピーチは拝見しました。今日は美晴の保護者ですので、宜しくお願いします。」


きちんとした挨拶をして、千紗はお辞儀をした。
手も綺麗に前で揃え、仕草のひとつひとつが丁寧で、本当に清楚って言葉がピッタリ。


木下先輩も、思わず千紗に見とれてるみたい。





すると、ボソッと悠先輩の声。



「オマエもあんだけ落ち着いてたら噴水にも落ちなかったんじゃねーの」





ムッカーーー!!
コイツはいちいち…!!



「まぁまぁ、とにかく部屋を案内するよ」



そう言って、木下先輩は部屋の奥へと私達を呼んだ。




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