意地悪な君に




-----不覚。



ちょっと格好イイと思ってしまった。





“もし、何か言ってくるヤツがいたらすぐ俺に言え。絶対守ってやる”



昨日のセリフを思い出す。



守る、なんて。
今まで言われた事ない。





でも…



「言うは易し、ですね」



ドキドキする私を現実に呼び戻したのは千紗の冷たい声。


木下先輩も、悠先輩も、全員が驚いて千紗に注目する。



「口で言うのは簡単ですよね。でも、本当にそう思っているなら、どうして体育館であんな事言ったんですか」


…そうだった。



「美晴を、女子を敵に回すような状況にして、自分はさっさといなくなって。」



忘れてた。
悠先輩にされた事。



すぐに肝心な事を忘れてしまう。

私の悪い癖。





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