意地悪な君に




間違いないよ。

いくらなんでもあんな格好イイ人、校内にゴロゴロいないでしょ。

そんな事を考えながら、裏庭を歩いていた。





すると、裏庭にすっごくファンシーな噴水を見つけた。




「可っ愛いぃ~」



入試の日は緊張でそれどころじゃなくて気付かなかった。
こんなところにこんなに可愛い噴水があるなんて。


ファンシーなもの大好きな私はテンションが上がって、思わず駆け寄って…


ツルッ




「あ?わ…わゎっ!おっとっ…とと!!」


「おい」


「とっ!わゎぁーっキャーー!!」





バッシャーン!!

噴水周りの水飛沫に足を滑らせダイブしてしまった。








「冷たぁい…」



嘘・・・入学式なのに、全身びしょ濡れな私。


幸い深さがあったらしくどこも痛くはないけれど、全身頭からつま先までびしょ濡れ。




じんわり涙が出てくる。

せっかく、可愛くしたいって頑張ったのに。
新しい制服で嬉しかったのに。


足元をよく見ていなかった自業自得なんだけど、誰も見てないし、我慢出来なくなって泣いてしまった。




「うぅ…ひっく」






「泣くな、ウゼェ」





…!?




だ、誰!?


振り向くと、私と同じく全身びしょ濡れの男が、私を睨んでいた。




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