意地悪な君に
教室のアイツは一人じゃなかった。
後ろを向いていて顔は見えないけど、髪の長い女の子と話している。
良かった。
体育館で一緒にいた男じゃなくてホッとした。
何か話してるみたいだけど、口数は少なく会話の内容はわからない。
っていうか、これじゃ盗み聞きじゃねーか。
さすがに情けなくなって、その場を離れようと踵を返したその時――――
ハッキリと聞こえた。
美晴の声。
「行くの、やめる」
はっきりとした決意のこもった声。
わかってた事。
自業自得だし。
でも、思ったよりもダメージは大きく、教室を離れようと少し歩いてところで、俺の足は止まってしまった。
「――――くそっ!」