意地悪な君に




俺は、少し離れた教室の壁にもたれて、2人が出てくるのを待った。

出てきたらなんて言う?



まず、謝らないといけない。
うん、そうだ。

ちゃんと謝ろう。


許してくれなくてもいい。
きちんと謝って、美晴が辛くないように守るんだ。



そう心の準備を整えて、待っていると『1-C』の扉が開いた。



でも、先に出てきたのは美晴じゃなく、友達の方で。

まず謝ろうと思っていた俺は予想外の事に言葉に詰まってしまった。



美晴の友達も俺を見たまま驚いたようで動かない。



すぐに美晴も顔を出す。
そして俺に気付くと、一瞬びっくりしたあと、それきり固まってしまった。




言わなきゃいけない。

ちゃんと「ごめん」って。


でも、さっき一度は喉まで出ていた「ごめん」が、すっかり引っ込んでしまいどうしても出てこない・・・




言え。
ちゃんと。



謝るんだ。






でも・・・

俺の口から出た言葉は、俺の言いたかった事とは全く違っていて。





「ナニ逃げようとしてんだよ。ふざけんな。そう簡単に逃げられると思うなよ」










あぁ。

俺って、最低だ。




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