意地悪な君に
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木下と美晴のいる部屋に戻ると、二人は仕事なんかせずにお喋りしていた。
「えーー!!じゃあ佐伯さんのお兄さんって、あの有名な佐伯会長なの!?」
「そうなんですよ!学園祭改革とか、校則改定とか、すっごい偉業を残した生徒会長なんです!でも、5代も前なのによく知ってますね」
「そりゃそうだよ!!佐伯会長っていったら伝説だもん!な、悠!!」
いきなり俺に話をふる木下。
美晴は自分の兄の話にかなりテンション上がっている。
「そりゃな。有名人だし、この学校の生徒会員なら誰でも知ってる」
実際、佐伯会長は超有名人だった。
たった1年の任期で数々の「偉業」を果たしたし、特に学園祭改革なんてのは、入学希望者をかなり増やす事にも成功し、先生の中でも名高い生徒会長だったらしい。
去年美晴がこの学校に合格したって噂が流れた時も、一部の生徒や先生の中では騒がれてた。
兄を褒められて嬉しそうな美晴。
「しかも、サッカーも上手なんですよ!今は大学で東京に行っちゃったけど、そこでも大活躍なんですっ」
そう、この高校はサッカーの名門校でもある。
佐伯会長は、そのサッカー部でもかなりの活躍をしていた事もまた有名。
まさに、文武両道。
「え!悠もサッカー部じゃん。じゃあ悠にとってはサッカー部の先輩でもあるわけだ!!」
「だな。OBとして、何度か練習も見に来てくれた」
美晴にとって、お兄ちゃんと一緒っていうのは良い意味だったらしく、俺を見る美晴の目も、ちょっとは優しくなった気がした。
「じゃあ、悠先輩、お兄ちゃんに会った事あるんですか!?」
笑顔の美晴。
今日、俺に見せた、唯一の笑顔かもしれない。
となりで橘さんは苦笑いして、気の毒そうに俺を見ていたけど・・・
~Boys side~
・・・end