意地悪な君に






---------
---------



木下と美晴のいる部屋に戻ると、二人は仕事なんかせずにお喋りしていた。


「えーー!!じゃあ佐伯さんのお兄さんって、あの有名な佐伯会長なの!?」

「そうなんですよ!学園祭改革とか、校則改定とか、すっごい偉業を残した生徒会長なんです!でも、5代も前なのによく知ってますね」

「そりゃそうだよ!!佐伯会長っていったら伝説だもん!な、悠!!」



いきなり俺に話をふる木下。

美晴は自分の兄の話にかなりテンション上がっている。




「そりゃな。有名人だし、この学校の生徒会員なら誰でも知ってる」



実際、佐伯会長は超有名人だった。
たった1年の任期で数々の「偉業」を果たしたし、特に学園祭改革なんてのは、入学希望者をかなり増やす事にも成功し、先生の中でも名高い生徒会長だったらしい。


去年美晴がこの学校に合格したって噂が流れた時も、一部の生徒や先生の中では騒がれてた。




兄を褒められて嬉しそうな美晴。



「しかも、サッカーも上手なんですよ!今は大学で東京に行っちゃったけど、そこでも大活躍なんですっ」



そう、この高校はサッカーの名門校でもある。
佐伯会長は、そのサッカー部でもかなりの活躍をしていた事もまた有名。

まさに、文武両道。




「え!悠もサッカー部じゃん。じゃあ悠にとってはサッカー部の先輩でもあるわけだ!!」

「だな。OBとして、何度か練習も見に来てくれた」




美晴にとって、お兄ちゃんと一緒っていうのは良い意味だったらしく、俺を見る美晴の目も、ちょっとは優しくなった気がした。



「じゃあ、悠先輩、お兄ちゃんに会った事あるんですか!?」



笑顔の美晴。
今日、俺に見せた、唯一の笑顔かもしれない。




となりで橘さんは苦笑いして、気の毒そうに俺を見ていたけど・・・





~Boys side~
・・・end




< 68 / 156 >

この作品をシェア

pagetop