意地悪な君に



「あの…」


男はまだ私を睨んでいる。




「何、してるんですか?」




瞬間、男の目が一層鋭く光った。


「何してる、じゃねぇよ!おまえが噴水に落ちそうだから止めようとして道連れになったんだよ!」


「えっ私のせい!?」


「他に誰がいんだよ、こんなトコ落ちる馬鹿が」




なっなにこのひとー!!
こっわーーい!!



「そんな言い方しなくても!馬鹿とかひどい!」



男は前髪を手で拭い、
フンッと鼻で笑った。



「オマエ、入学式どーすんの?」



そうだ…

これじゃ入学式出られない。

って言うか、式どころか電車にも乗れないし、帰れないよ…





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