意地悪な君に
2人残されてしまった駅。
「あのー…」
何も言わない悠先輩と二人きりに耐え切れず、先に言葉を発したのは私の方。
「先輩、どっち方面ですか?私は北町なんで、上りホームで…」
違う電車である事を願いながら言った私の言葉は最後まで言う事が出来なかった。
すたすたと悠先輩は上りホームへと歩き出してしまったから。
電車も同じですか。
ハッ・・・・!!
しまった!
最寄り駅、先に言うんじゃなかった!!
悠先輩の最寄り駅聞いてから、適当に逃げれば一緒に帰らずにすんだんじゃないの!?
と、後悔しても後の祭り。
ちょうどホームに滑り込んできた電車に乗り込むと、悠先輩は振り返って私に「おいでおいで」と手招きをした。
「!!!」
ちくしょう。
ちょっと可愛いいじゃないか。